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海の安全対策を学びたい Vol.2 (2/4)

海の安全対策を学びたい Vol.2 (2/4)

投稿日:2026年4月29日

最前線の海の安全対策システム
【よびもり】の導入率が高い
北海道・ウトロ地区に勉強に行ってきたよ!


取材協力◎株式会社よびもり/https://yobimori.com/
     ◎ゴジラ岩観光/ https://kamuiwakka.jp/

釣りドコ ブログ ~海の安全対策を学びたい Vol.2~ 海難救助サービスよびもり  よびもりCEO千葉さん、ゴジラ岩観光の神尾さん タカピーとごっとりくん 会談 写真

[PART2 ゴジラ岩観光の取り組み]


写真と文/立川 宏


安全対策にゴールはない

 

知床半島の西岸に位置する『ウトロ港』。
知床半島の東岸に位置する『羅臼港』。
両港に出船基地を持つ『ゴシラ岩観光』は、知床を代表する人気観光船だ。

ウトロ港側の事務所内の壁には、ヒグマがシャケを獲っている写真、ヒグマが水浴びをして遊んでいる写真などが飾られている。どの写真も知床の豊かな自然を象徴している。

釣りドコ ブログ ~海の安全対策を学びたい Vol.2~ 海難救助サービスよびもり  知床半島 ウトロ ゴジラ岩観光の店内に飾ってある 写真


国立公園でもあり世界遺産でもある知床地域は、陸路の開発が制限されている。そのため知床の豊かな自然を楽しむためには、海から知床半島を見学できる観光遊覧船が適している。

 

神尾:「春から初夏にかけての季節に、羅臼発の観光船に乗っていただければ、高確率でシャチやマッコウクジラを間近で見ることができますよ。」

釣りドコ ブログ ~海の安全対策を学びたい Vol.2~ 海難救助サービスよびもり  知床半島 ウトロ ゴジラ岩観光船とシャチ 写真

 シャチを間近で観察する乗客(画像提供:ゴジラ岩観光 https://kamuiwakka.jp/


壁に飾られているヒグマの写真を眺めていたタカピーとごっとりくんに、ゴジラ岩観光統括部長の神尾昇勝さんが教えてくれた。

ごっとりくん:「シャチですか? それは凄いですね。」

釣りドコ ブログ ~海の安全対策を学びたい Vol.2~ 海難救助サービスよびもり  知床半島 ウトロ ゴジラ岩観光 羅臼港 野生のシャチ オス 2頭 写真

 羅臼港と2頭のオスのシャチ(画像提供:ゴジラ岩観光 https://kamuiwakka.jp/

神尾:「ええ。さらに真冬になると羅臼港発の観光船で天然記念物のオオワシとオジロワシを見ることができます。ゴシラ岩観光では、シーズン中(2月1日~3月末日)は撮影のための特別船を出しています。みなさん立派な望遠カメラ持参で、ご乗船されています。」

釣りドコ ブログ ~海の安全対策を学びたい Vol.2~ 海難救助サービスよびもり  知床半島 ウトロ ゴジラ岩観光 流氷上のオオワシ オジロワシ 写真

 オオワシ(画像提供:ゴジラ岩観光 https://kamuiwakka.jp/


タカピー:「オオワシとオジロワシですか♡」大の猛禽類好きのタカピーの目が、一瞬でハート型に変わった。

千葉:「予想以上の数のオオワシとオジロワシがいます。ご覧になった方は、みなさま、あまりの数の多さに驚かれています。」

タカピーの目が、さらに分かりやすいハート型になった。この瞬間に、タカピーが来季の冬の乗船を決意したことは誰から見ても明らかだった。

ごっとりくん:「真冬の海水温はかなり低いですよね。」

神尾:「ええ。流氷に覆われるので、真冬の平均海水温は-0.5~2℃くらいです。このあたりは年間平均でも海水温は8.8℃くらいです。」

釣りドコ ブログ ~海の安全対策を学びたい Vol.2~ 海難救助サービスよびもり  知床半島 ウトロ ゴジラ岩観光統括部長・神尾昇勝さん 写真

  ゴジラ岩観光統括部長・神尾昇勝さん 

ごっとりくん:「万が一にでも海に落ちたらかなり危険ですね。」

神尾:「はい。大変危険です。」

一般的に海水温8.8℃の海に落水した場合、意識喪失までの限界時間は30分と言われている。そして、生存可能時間は1~3時間が限界だと言われている。

さらに最初の数十秒でコールドショックを起こしてしまう危険もある。コールドショックとは、冷水に突然入ることにより、過呼吸をおこし息が止まってしまう症状。水温15℃未満で発症しやすいと言われている。

神尾:「船の安全管理は徹底しています。万が一にも落水ということが起きないように、観光船の柵の高さなどは、安全基準で厳密に定められています。そのため弊社では落水事故が起きたことはありません。万が一の場合の通信手段や救命ボートの設置も、徹底して備えています。ですが、それでも海は怖いです。」

ごっとりくん:「安全対策はゴシラ岩観光さんのホームページでも拝見することができますよね。確かに徹底された安全対策だと思います。」

神尾:「安全対策にやり過ぎと、完璧はありません。お客様の命をお預かりしている責任は、果てしなく重たいです。よびもりシステムを導入させていただいたのも、お客様のさらなる安全担保のためと、ご乗船いただくお客様の不安を少しでも解消できましたら、との思いからです。」

釣りドコ ブログ ~海の安全対策を学びたい Vol.2~ 海難救助サービスよびもり  知床半島 ウトロ ゴジラ岩観光 レンタル用よびもり 多数 写真

タカピー:「よびもりシステムとは、具体的にはどのようなシステムなのですか?」

神尾:「よびもりシステムは、型発信端末から、SOS信号と正確な位置情報を発信し、その情報をアプリで共有するものです。ウトロ港から出港する弊社の観光船を利用いただくお客様には、専用の小型発信端末を首からぶら下げていただきます。万が一、事故やトラブルに遭ってしまったとき、発信端末の中央部にあるボタンを5秒間長押しします。端末からSOS信号が発せられて、正確な位置情報を知らせることができます。どこに知らせるのか? と言いますと、発信端末は専用アプリとセットになっていて、スマホやPCに入れた専用アプリで、緊急SOS信号を即座に受信してアプリ内の地図で、SOS信号が発信されている場所をピンポイントに正確に知ることができます。近くにいる漁船や、弊社のような遊覧船が、まっさきに救助へと駆けつけることができます。現在ではウトロ港周辺の漁師さんも多数加入されています。」

釣りドコ ブログ ~海の安全対策を学びたい Vol.2~ 海難救助サービスよびもり  知床半島 ウトロ ゴジラ岩観光 よびもり スマホ アプリ画面 写真

 よびもりの発信端末がSOS信号を発した場合は、専用アプリが即座に受信。(写真の画面はデモンストレーション用)


ごっとりくん:「相互救助システムですね。」

千葉:「まさにそうですね。海の事故の場合、既存の救助システムだけでは時間的に間に合わないケースもあります。特に知床地域のような冷水域では、1分、1秒の違いが生死を分けてしまいます。状況は一刻を争います。」

釣りドコ ブログ ~海の安全対策を学びたい Vol.2~ 海難救助サービスよびもり  知床半島 ウトロ ゴジラ岩観光 店内 よびもりCEO神尾さん 写真


神尾:「ウトロ地域は、海上保安庁さんの基地が近くにないので、既存の体制だけでは、どうしても救助速度に物理的な限界があります。だからこそ、よびもりシステムが大切です。ゴジラ岩観光では、ご乗船いただくお客様全員によびもりの端末を持っていただいております。 その分、少しだけご乗船の料金が高くなってしまいますが、ご乗船いただくお客様は、ご納得していただける方が多いです。我々と致しましても、お客様の命をお預かりしている以上、安全対策で妥協することはできません。」

釣りドコ ブログ ~海の安全対策を学びたい Vol.2~ 海難救助サービスよびもり  知床半島 ウトロ ゴジラ岩観光・神尾さん 店内 よびもりCEO神尾さん タカピーとごっとりくん 写真


海の中の潮流は、船の上から眺めているだけでは把握できないほど複雑で強い。

 特に知床地域は、オホーツク海から南下してくる冷たい『親潮』と、宗谷海峡を通過してオホーツク海に流れ込む『宗谷暖流』がぶつかり、複雑な流れを形成する潮境区域でもある。その上、断崖が多い急峻な知床半島にぶつかった反射波も作用して、より複雑で強い流れを作り出している。

船からの転落に限らず、なんらかの事故で海に落ちたら、どの方向に、どれくらいの速度で流されてしまうのか、予測することは容易ではない

神尾:「だからこそ、よびもりシステムが必須です。ひとり一人の命は、なにものにも代えられません。ひとたび海に落ちてしまったら、ひとり一人が違う速度で、違う方向に流されてしまう可能性もあります。ひとり一人の正確な位置を把握することが、全員の迅速な救助へとつながる第一歩であることは明白です。 ですから、ゴシラ岩観光では、お客様全員によびもりシステムの端末を付けていただいた上でのご乗船をお願いしております。」

2023年によびもりシステムを用いて行われた訓練では、観光船から乗客が落水した想定で、端末付きのブイを海上に投下。わずか11分で乗客に見立てた端末付きのブイを発見できた。よびもりシステムが導入されている地域では、事故発生直後から、位置情報が地域全体に配信され、協力した救助活動を始められる。このシステムによって、助かる命がどれくらいあるだろうか?

神尾:「海に絶対はありません。どんなに備えていても、どんなに注意していても、何が起きるかわからないのが海です。だからこそ、海を職場にして、海のことを知り尽くしている漁師さんたちもよびもりシステムを導入しています。自分の命を守るため。そして万が一、海で誰かが事故に遭ったとしても、これ以上犠牲者は出したくない。そのために自分たちができることは何でもやる。そんな思いからウロトの漁師さんたちの多くが、よびもりシステムを導入しています。ウトロ地区だけではなく、よびもりのような相互安全システムが全国の海に広がってくれることを願っています。

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PART3へ つづく