釣りドコ公式ブログ

海難事故防止の勉強をしてきた!Vol.2/5

海難事故防止の勉強をしてきた!Vol.2/5

投稿日:2022年12月15日

海難事故防止のために『釣りドコ』にできることはなにか?

『海上保安庁』へ勉強に行ってきました!

[PART2 いざパトロールへ!編]

原稿/立川 宏

 

 

『タライ岬』への海浜パトロール

 

駐車場からタライ岬まではおよそ30分間の山道。

 



 

松村さんは肩に、救助のための三種の神器のひとつ『救助用フロート』を掛けた状態で山道を歩く。

万が一、要救助者が出た場合にすぐに救助できるようにパトロール中は常に持ち歩いている。

 

救助用のフロートを肩に担いで歩く松村さん

 

海浜パトロール三種の神器「フロート」「ロープ」「拡声器」

 

タライ岬は『釣りドコ』でも人気の、第一級磯釣りポイント。

イシダイやイシガキダイ、メジナの他に、アオリイカや青物のポイントとして人気が高い。

 

釣り禁止ではないが足場が悪い磯場なので、過去に釣行中の不幸な事故が起きてしまったこともあるポイントだ。

青木さんと松村さんは、二度と不幸な事故が起きないで欲しい・・・という思いで、スケジュールが許す限り片道30分間の道のりを歩き、タライ岬の海浜パトロールを続けている。

 

青木さん:「磯釣りなので、手軽な防波堤釣りと比較すると、しっかりとした装備で釣りを楽しんで下さる方の割合は多いのですが、それでも希に不幸な事故は起きてしまいます」。

 

高柳:「事故が起きてしまう要因は何ですか?」

 

青木さん:「事故の要因は多岐に渡りますが、特に注意していただきたいのが準備のときです。釣りをされるときには救命胴衣を着用される方が多いですが、暑い日などは準備のときに、ついつい救命胴衣の着用を忘れがちです。ですが釣りは、準備段階で海水を汲み上げるために、海辺に近づくことも多いです。そのときに誤って落水してしまう事故は少なくありません」。

 

松村さん:「または転倒したときに頭部を強打して、意識を失って落水してしまう事故もあります。どんなに注意していても、何が起こるか分からないのが海です。頭部を守るためのヘルメットは磯釣りでは着用していただいた方が安全かと思います」。

 

海に近づくときは安全装備を万全に!

 

この日タライ岬にはしっかりとした装備を着用したルアーマンが釣りを楽しんでいた。

青木さんと松村さんは、ルアーマンに体調は大丈夫ですか? なにかお困りのことはありませんか? などの声掛けをしたのちに、安全装備をしっかりとして下さっていることへの感謝を告げて、さらに、万が一にでも倒れている方はいないか磯場全体を丁寧にパトロールした。

 

[左] 下田海上保安部 交通課 安全対策係長 地域海難防止対策官・青木裕一さん

[右]下田海上保安部 交通課 安全対策係 松村啓生さん

 

 

『福浦堤防』への海浜パトロール

 

次に4人がパトロールに向かったのは『福浦堤防』。

立入禁止の場所だが、魚が釣れるために立ち入ってしまう釣り人も少なくない。

堤防の入り口には、わかりやすく大きな文字で『立入禁止』と明記されている。

 

 

 

青木さん:「我々は、立入禁止の場所で釣りをされている方々を咎めるためにパトロールを行っている訳ではありません。我々の目的は、あくまでも不幸な事故予防にご協力いただきたい・・・その思いだけです」。

 

松村さん:「立ち入り禁止の場所には、立入禁止の理由があります。我々が定期的にパトロールさせていただいている、今回の『福浦堤防』は、港湾工事用に作られた堤防です。工事にはキケンがともないます。そのため事故防止のために関係者以外の立入が禁止されています」。

 

青木さん:「工事用の港なので堤防に人が立ち入ったときの安全対策も行われていません。それだけでもキケンですが、さらにこのエリアは『一発波』と呼ばれる大波が来ることがあります。一見静かに見えても、突如堤防全体を飲み込むほどの大波が来ることがあります。そのときに堤防で釣りをしていたら、ひとたまりもありません」。

 

松村さん:「そしてなによりも立ち入り禁止の場所は、人が立ち入らない場所なので、事故がおきてしまったときに、救助要請をして下さる人もいないため、我々の救助が遅れてしまうことがあります。それは我々としては耐えがたいです。ですから、事故防止のご協力を求めて、こうして地道に声を掛けさせていただいております」。

 

この日『福浦堤防』で釣りをしていた釣り人は4~5人ほど。2人の声掛けによってキケンであることを理解して、すぐに釣りを止める人が大半だが、中には不満を爆発させる人もいる。

 

青木さん:「釣りを楽しみたい。という方のお気持ちも凄く理解できます。特に遠方から来られた方は、せっかく来たのだから・・・というお気持ちも強いかと思います。ですが、命に関わる問題なので、私たちはキケンをお伝えして、ご理解していただくように、ご協力をお願いさせていただいております。私たちにできることは、ご協力のお願いくらいしかありませんから」。

 

松村さん:「私たちも人間なので、釣りをされている方に強い態度を取られると、哀しい気持ちになることもあります。それでも事故が少しでも減ることを考えると、海浜パトロールは大切な業務だと実感しています。一番大切なのは不幸な事故を未然に防ぐことです」。

 

 

釣り人をキケンから守りたい! すべてはそのための行動。

だが、釣り人の中には一時の感情に任せて『心ない言葉を浴びせてしまう人』もいる。

それでは、まるで反抗期の子供と同じじゃないか!まさに『親の心子知らず』。

高柳と後藤は、自分たちは絶対に反抗期の子供のような釣り人にはならいなようにしようと固く誓った

釣り人の安全を守りたい! そんな純粋な思いで『心ない言葉を浴びせられても』釣り人への声掛けを続ける、青木さんと、松村さん。

そんな青木さんと松村さんが、本当に『釣り人全員の親』に見えてきた。

 

高柳と後藤よりもだいぶ若い青木さんと松村さんは、反抗期の子供など居る訳もない若者だ。

そんな若者が『心ない言葉を浴びせられても』釣り人の安全だけを心から願い『声掛け』を続けている。

そして、海で起きる不幸な事故から、釣り人を全力で守ってくれる。まさに『釣り人全員の親』だよな~、と2人の若者に尊敬のまなざしを向ける高柳と後藤であった。

 

 

午後からは、『釣り人全員の親』のような存在の海上保安官の方々に、釣行中の事故を減らすためにできることはなにか? を教えていただく予定だ。

 

[PART3へつづく]